音楽作成AI SUNOの脅威

スタジオブログ

Blog
2025.12.15

音楽作成AI SUNOの脅威

こんにちは!名古屋のウクレレ、ボーカル、ギター教室「ポワンポワンスタジオ」です。

今回のテーマは「音楽作成AI SUNO」です。

私は仕事柄、音楽に関する新しい技術や機材の動向には常に注目しています。技術の進歩によって、今まで出来なかった表現が可能になったり、面倒だった作業が効率化されたりすることには、大きな可能性を感じています。

そんな私が最近、特に衝撃を受けたのが「SUNO(スノ)」という音楽生成AIです。

「SUNO v5」という最新バージョン(※執筆時点での最新版)で作られた音源を聴いて、本当にびっくりしました。

今までの音楽生成AIというと、どこか機械的で、BGMとしては使えても「歌もの」としては物足りない印象でした。しかし、SUNO v5は違います。

歌詞や曲のスタイル(例:「80年代のJ-POP、女性ボーカル、失恋ソング」など)を入力するだけで、数分後にはボーカル、伴奏、ミキシング(音のバランス調整)まで完了した、驚くほどクオリティの高い楽曲が生成されるのです。

もちろん、よく聴けばAI特有の不自然さが残る部分もありますが、デモ音源としては十分すぎるレベル、いや、場合によってはそのままリリースできるのではないかと思うほどのクオリティです。

これは、今まで手間だった作業が簡単になる、というレベルを超えています。今日はこのAIの登場によって、今後の音楽業界、特に私たちのような音楽に携わる人間がどうなっていくのかを考えてみたいと思います。

まず、率直に感じたのは「レコーディング系の仕事で生活している人は困るだろうなぁ」という懸念です。

例えば、作曲家がデモ音源を作るとき。 今までは、アレンジャー(編曲家)に依頼し、スタジオミュージシャン(ギター、ベース、ドラムなど)を呼び、レコーディングエンジニアが録音・ミックスダウンを行う、という流れが一般的でした。

しかし、SUNOのようなAIがあれば、作曲家自身が簡単な指示を出すだけで、AIがかなりのクオリティで伴奏も歌も(仮歌)も作ってしまいます。

もちろん、最近のヒット曲に見られるような複雑な構成や転調を多用した楽曲 、あるいはジャズのような高度な即興演奏をAIが完璧にこなすのはまだ難しいかもしれません。 しかし、シンプルなポップスや、企業のプロモーションビデオに使うBGM、YouTube動画のオープニング曲など、「それなりのクオリティ」で十分な場面では、AIが人間の仕事を奪っていく可能性は非常に高いです。

音楽業界はもともと移り変わりが激しく、2~3年前に流行ったアーティストが次の年には見なくなってしまうことも珍しくありません 。また、一時代を築いたメーカーでさえ、時代の波に飲まれてしまうことがあります(例えば、ギターメーカーFERNANDESの破産のニュースは記憶に新しいです)

このAIの登場は、それらと同じか、あるいはそれ以上に大きな業界構造の変化をもたらす「波」だと感じています。

では、AIの登場によって、人間の音楽活動はすべて意味がなくなってしまうのでしょうか?

私は、逆に「人前で生演奏すること」の意味が、これまで以上に大きくなるだろうと考えています。

AIが生成するのは、あくまで「録音された音源(データ)」です。その場限りのパフォーマンスではありません。

私たち講師が、モチベーションが下がっている生徒さんによく提案することの一つに、「演奏する機会を作る」というものがあります 。例えば、発表会に出たり、友人や家族の結婚式で演奏したりすることです

なぜこれがモチベーションアップに効果的なのか。 それは、AIが作る「完璧な音源」にはない、人間同士のコミュニケーションや、その場限りの緊張感、一体感が「生演奏」にはあるからです。

生徒さんが弾きたいと持ってくる流行りの曲は、演奏もボーカルも非常に高難易度なことが多いです 。弾き語りともなると相当な覚悟が必要な場合もあります それでも挑戦したいと思うのは、「ただ曲が聴きたい」だけならサブスクリプションで十分な時代に、「自分もやってみたい!」という強い動機があるからです

AIがどれだけ上手にギターの定番練習曲をデータとして生成しても、それは生徒さん自身が地道な練習を重ねて、まずは基本的なコードを覚え 、やがて複雑なコード進行を様々なパターンで弾きこなせるようになる という「達成感」や「プロセス」の喜びとは全く別物です。

AIが作った「完璧な曲」が世にあふれればあふれるほど、人々は逆に、人間の不完全さや、その瞬間にしか生まれない「生の音」を求めるようになるのではないでしょうか。

ギターを弾く、ウクレレを弾く、歌を歌う。 これらの行為は、AI時代において、単なる技術から「人間の表現活動」として、より価値のあるものになっていく。私はそう信じています。

AIの進化は脅威であると同時に、私たち人間に「あなたにとって音楽とは何ですか?」と問い直す、良いきっかけを与えてくれているのかもしれません。

free trial

まずは無料体験レッスンを受けて、ポワンポワンスタジオの雰囲気や楽器の楽しさを感じてみませんか?

無料体験レッスンについて詳しくみる

今すぐWEBから申し込む!

ポワンポワンスタジオ各系列校の
総合受付につながります